全心連「ウクライナ交流センター」が開催する心のケアの催しでは、参加希望者への申し込みフォームで、必要なことを聞く項目を設けてきました。これまでよく見られたこととして、ウクライナで絵や音楽をされていた方を中心に、絵を描きたい、音楽を演奏したいなどの声がありました。ウクライナ交流センターを開設してから、ウクライナの伝統的刺繍、絵画、アイシングクッキーなど、様々なものに触れるにつれ、ウクライナの方々にとってアートはとても身近で、大切な存在なのかなと思うことが多くありました。アートを楽しみ、アートを取り入れた創作活動を通して、ウクライナの親子の心の安定と癒しにつながるのではないかと思いました。
当初は、みんなでランチを囲みながら日本の夏の風物詩(前回好評につき、そうめんやかき氷、綿菓子等)を楽しんでいただいた後、絵を描いたり、音楽を演奏したり、ミニチュアを用いて世界をつくったりなど、各自が希望するアートに取り組んでいただく予定でした。ただ、開催直前に新型コロナウイルス感染症拡大となり、開催するか否かを含め迷いに迷い、毎日、ミーティングを開催して検討する日々でした。申し込んでくださった方から、「7月16日のアートワークショップは予定通り開催されますか?」「楽しみにしています」等の声があり、一人でも希望する人がいらっしゃるならできる限りその声に応えよう、と実施することを決めました。
感染症対策を行ったうえで、できるだけ安全、安心できる形で開催することはもちろんですが、何よりもウクライナから避難されてきた方々が、来てよかった、と思っていただけるにはどんな形がよさそうかを模索しました。当初、予定していた内容から大幅に変更し、当日を迎えました。いつものボランティアミーティングからスタートです。
◆12:00 ガイダンス~食事会
7月7日、七夕の会に行った、ウクライナの写真募集、仕事の相談をしたい方へのフォーム登録、心のケアについての案内を行いました。そして、今回の食事会は新型コロナウイルス感染症の影響で大幅に内容を変更し、個食にはなるけれど、日常で利用ができる食生活として、日本の様々なお弁当(牛丼・油そば・冷やしうどん・お寿司など)をご用意したことをお伝えしました。目玉は、子ども用の「新幹線型のお弁当」、子どもたちも大喜びでした。どこで購入できるか、どのように購入するかを説明しながら紹介をしつつ、お弁当を選んでいただきました。
また、前回好評のかき氷や綿菓子も準備しました。前回はおそるおそる試す方も多かったのですが、今回は、自分たちで作ることにチャレンジする場面もありました。
◆13:00ごろ アートワークショップ
絵を描いたり、音楽を演奏したり、ミニチュアを用いて世界をつくったりなど、各自が希望するアートに取り組んでいただきました。話を聴くプロ(全心連公認プロフェッショナル心理カウンセラー)とアイディアメンタルトレーニング個別塾の学習プロコーチたちも一緒になって取り組み、ウクライナから避難されてきた方々も自由に表現することが出来たようです。
ウクライナの方は、アーティスティックで個性的な絵を描いていました。日本人の私たちから見ると、すごい、の一言です。また、十数年ぶりにバイオリンに触れたという方もおり、緊張しながらも懐かしさを感じながら演奏をしていました。ウクライナでは、音楽が好きな子どもはピアノかバイオリンを習うのだそうです。
本当はみんなで歌いたかったのですが・・・これも新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みてまたの機会にお預けです。
こちらは、「ウクライナとロシアと他の国」。痛いほどの気持ちが伝わります。
全心連のお仲間から「ビーツ」をご提供いただきました。本当はこれでボルシチとか作ろうか、とも言っていたのですが、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みて、来られた方へのお土産として、希望される方にお持ち帰りいただくことにしました。やはりウクライナの方にとっては大人気、あっという間になくなりました。「どこで買えるの?」と聞いてきたり、「嬉しい!」と大感激していただいたり、「ビーツは生でも食べられるのよ。」「この茎のところもおいしいのよ。」など教えていただきました。
今回の「アートワークショップ」は、開催そのものも危ぶまれる中、スタッフ全員で可能を開きながら、なんとか、実施することができました。当日、キャンセルする方も多いかな・・・と思っていましたが、たくさんのウクライナから避難されてきた方々が来てくれました。コロナ禍の中でも来て下さった皆様、開催にあたりご協力くださったすべての皆様のおかげです。心より御礼申し上げます。
be with you
表現されたアートやミニチュアをご一緒しながら、その世界を一緒に味わいました。どんな想いもしっかり受け止めて、一緒にいて、ただ感じる。私たち日本人にとっては言葉が通じるわけではない中で、絵やミニチュア、音楽などのアートは、言葉を超えて通じ合うツールになり得ます。
ウクライナの方々の心の豊かさを感じ、一方で痛いほどの想いも感じる、そんな機会でした。アートを通して私たちがその想いを受け取り、味わい、そのうえで必要なことを実行する。これからもウクライナの方々にとって、安心して表現できる場でありたいと思いました。
回を重ねるごとに、知り合いが増え、ふるさとの話をしたり、日本での生活の話をしたり、心を通わせる時間が増えていることが感じ取れました。15時集合のサッカー観戦から参加予定の方が、「ちょっと早く着いちゃって・・・」という中、どうぞどうぞと入っていただき、遅めのお弁当ランチを取りながらアートをご一緒する風景も見られました。それだけ、心の拠り所にして下さっているウクライナ交流センター、責任重大だなあと感じました。
いつ、どんな時に来ても、まるで家族のように安心できる場所。自分らしくいられる場所。全心連「ウクライナ交流センター」はそんな場所をめざして引き続き、ウクライナから避難されてきた方々のためにがんばります。すべての皆様に心からの御礼と、引き続きのご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
主催:一般社団法人全国心理業連合会
「ウクライナ交流センター」在日ウクライナ人スタッフ
学生ボランティアスタッフ
全心連公認プロフェッショナル心理カウンセラー(話を聴くプロ)ボランティアスタッフ
アイディアメンタルトレーニング個別塾メンタルトレーナー・学習プロコーチ
参加人数:
55名(ウクライナの方、日本人ボランティア等含む)
本企画は下記の皆様にご後援、ご協力をいただきました。改めて心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
後援:
一般社団法人プロフェッショナル心理カウンセラー協会
協力:
株式会社アイディアヒューマンサポートサービス