2024年度を迎え、全心連ウクライナ「心のケア」交流センター 渋谷ひまわりは青山へ移転をし、新たなスタートを切りました。2022年5月の設立当初に私たちが考えていたことは、まずウクライナ避難民の方々から信頼されるように、大きな家族のように安心して私たちにアクセスしていただけるような存在になることでした。渋谷ひまわりの活動も3年目を迎え、今では1,500名以上のウクライナの方々とつながりを持つようになり、ウクライナの方々、日本の方々問わず、「何か困ったことがあれば渋谷ひまわりさんに相談してみよう」と思っていただけるようになりました。その意味では、心の居場所づくりを行うという当初の目的はクリアされてきたのではないかと思います。ウクライナ避難民の方々への心のケアは、次の段階に移行する時期に来たのです。
一方で、国際情勢を踏まえると日本での避難生活は当面、続くことが予想される中で、東日本大震災後の心のケア活動の知見を照らし合わせながら、ウクライナ避難民の方々の現状や心理状態を鑑みると、心配な状況が続きます。新しい環境や社会に適応していける人は、一見順調であるように見えて実はストレスを抱えているケースが多いこと。また、そうではない方々は孤立し、閉じこもりがちになるリスクが高くなること。いずれにせよ、その方々にあったサポートが必要となります。
2024年度のはじまりにあたり、「日本で暮らしていけるようになるために就業支援・日本語教育を強化していくこと、そのために日本人とのつながりを持てるような機会をよりつくっていくこと」という方針を立て、目的・目標などを定めていたものの、就業支援については様々な現実を考慮すると、ウクライナ避難民の方々へはどんなサポートを行っていけばよいのかがつかみきれないところがありました。いわゆる”合同企業説明会”的なやり方だけでは、ウクライナ避難民の方々にはあまり機能しないところがあることはわかっていました。では、どうすればいいのか?について、ボランティア同士で何度もミーティングを持ちました。
今はまだ終わりが見えませんが、それでもいつかは終戦が来る。その時に彼らがどのような選択をしたとしても、日本での経験が未来に活かせるように今を過ごしてほしい。そのために心のケアの専門家である私たちにできることは何か・・・?心のケアの次の段階をどのようにしていくか?の取り組みをはじめました。まずは、渋谷ひまわりがこれまで大切にしてきた、ウクライナ避難民の方々からの声を直接、お聴きし、各自の声を他のウクライナ避難民の方々へと展開していくことを大切にする形で、日本財団の助成をいただき企画しました。

まず、就業・仕事について、彼らがどんな現状にあり、どんなことを希望しているかを知るために、交流会形式で開催することにしました。事前に、日本の企業の方々へも案内を行い、どんな企業がウクライナ避難民の方々の採用に興味を持っておられるかなどをお聴きすることも行いました。

◆19:00スタート
当日は台風接近のさなか、渋谷に来てくれました。求人企業の紹介もできるよう準備をしていましたが、こんなに大変な日に来てくれたので、一人ひとりとゆっくり話してみよう!というスタンスに変更して実施しました。お一人おひとり、自己紹介と、日本でどんな仕事に就きたいか?について、日本語で話せる人は日本語で話していただきました。予想以上に、日本語で話せる人も多くおられました。
「今はアルバイトをしているけれど、もっといい仕事に就きたい」「お花が好きで、ウクライナでもフラワーアレンジメント等の仕事をしており、日本でもお花にかかわる仕事なら花屋さんでもなんでもしたいと思っているのに、書類選考すら通らない」「せっかく日本にいるので、今までとは違う分野の仕事をしてみたい」など、多くの声をお聴きすることができました。


今回の交流会を通じて感じたことは、1.日本の企業から多く求められる「日本語」について、日常会話程度を話せるのに就業につながっていない方に向けて、日本の就職活動についてのスキルやノウハウを伝える必要がある、2.ウクライナ避難民の方々が希望されている分野の求人を私たちが見つけてくるといいのではないか、3.日本語の習得をさらに推進し、ビジネスで使う日本語を習得するための機会を作る必要があることでした。全心連ウクライナ「心のケア」交流センターとして、これらを踏まえた活動を展開して参りたいと思います。
主催:一般社団法人全国心理業連合会
ウクライナ「心のケア」交流センター在日ウクライナ人スタッフ、ボランティアスタッフ
参加人数:21名(ウクライナの方12名、日本人9名)
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本企画は下記の皆様にご後援、ご協力をいただきました。改めて心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
後援:一般社団法人プロフェッショナル心理カウンセラー協会
助成:公益財団法人日本財団
協力:株式会社アイディアヒューマンサポートサービス、ココロゴトカフェ