1.事業目的および内容
全心連ウクライナ「心のケア」交流センターには、ウクライナ避難民からの困りごと相談や心理カウンセリング依頼、在日ウクライナ大使館や各支援団体からのウクライナ避難民に関するご相談など、多岐にわたっている。日本財団のウクライナ避難民支援助成プログラムの支援においては、日本語教育をきっかけとした相談対応と心のケアを実施した。相談対応と心のケアはクライナ避難民のセラピストが担当したり、必要な場合は通訳を介して日本人の認定心理カウンセラーが担当した。
2.方法
期間:2023年5月~2024年3月
場所:ウクライナ「心のケア」交流センター(東京・渋谷)
対象:ウクライナ避難民
3.実施状況
期間中、生活に関する困りごと相談、心のケアの依頼を多数、お受けしたが、日本財団の助成を受けたものは以下の通り。
●随時
日本語レッスンの前後で、日本語教育を担当する認定心理カウンセラーがウクライナ避難民の日常的な困りごと相談をお受けした。
●2023年9月17日
ウクライナ避難民のセラピストが、グループセラピーと個別相談を実施した。
なお、日本財団助成外としては、能登半島地震にあたり北陸地域のウクライナ避難民の方々の一時避難や、メンタルが心配な状態であるウクライナ避難民の方がいらっしゃるという日本語学校の先生からのご相談、戦争トラウマや日本での生活でのストレスに関するカウンセリング、日本での納税手続き(インボイス制度や確定申告)や自治体への申請書類に関する相談などであった。
4.効果など
日本語レッスンでウクライナ避難民の方々同士のつながりができてきたことや、日本語レッスンを担当する講師が時系列的にウクライナ避難民の方の様子を把握することができることから、気になる方にレッスン前後で声をかけ対応することができるようになった。また、ウクライナ避難民セラピストが担当するグループセラピーでは、造形療法を応用した手法を用いており、参加者同士の連帯感を強めることができようだった。個別相談では気持ちの整理がなされたようだった。
日本財団助成外のものも含めて総括すると、昨年度あったような病院、買い物等の日常的な困りごと相談は日本の生活に慣れてきたことから減ってきたが、納税・申請など、日本人でも難しいと感じられるような種類のものも増えてきたように思う。また、日本語レッスンを強化するきっかけにもなったのだが、日本語学校を卒業した後に日本語を勉強する機会がないという声も多かった。就労や子どもの教育に関する相談も増えてきたため、ウクライナ避難民の方々が日本で生きていくための支援を引き続き実施する必要があると考える。